「軍の将官達と懇意であり、陛下や妃殿下からも恩情を賜り──何より、殿下に特別目をかけられているのです。みながおタマに注目し、様々な感情を抱いておりますわ。あの子が連れているネコ達を通じて交流を持つ者も少なくはありません」

 するとここで、ミットー公爵も顎を撫でながら口を開く。

「ヒバート男爵は、殿下とロメリアの婚約を強く推しておりましたからな。これを実現させるためには、タマコ殿が邪魔だと判断したのでしょう」
「それで、メルに……自分の娘にタマを攫わせたというのか? そもそも、攫ってどうする」
「私がヒバート男爵でしたら、邪魔な存在は早めに消すでしょうね」
「……っ、まさか」

 容赦ない言葉に、ミケランゼロが凄まじい形相でミットー公爵を睨む。
 不穏な雰囲気を察知して、チートが慌ててミットー公爵の肩に駆け上がった。

『ミットーさんに手を出したら、しょーちしないにゃっ!!』

 シャーッ! と牙を剥き出してミケランゼロを威嚇し、まさしく一触即発の状況だったが……