「日生大丈夫か?」


「う、うん。大丈夫だよ」


「大丈夫じゃねぇだろ……日生、誰よりも可愛くて綺麗なのにそんなに辛そうな表情してたら台無しだ」


「か、可愛い?」


「だから笑顔でいろ。俺がそばにいるから」


綺麗な切れ長な瞳が私を捉え、初めて優しく微笑んでくれた。


綺麗だ。


私のことを綺麗と言ってくれた、楠くんの方が綺麗で素敵な人なんだ。


「楠くん、ありがとうっ!!」


走りながら私は今出せる全力の笑顔を向けると、楠くんは大きく吹き出して目を細めながら笑ったのだ。