「なぁ、純恋」


彰が話しかけた時、風が強く吹いた。


髪の毛が揺れて、彰と目が合った。


いつもと違う、真剣で強い眼差しから目が離せない。


彰、何を言おうとしているの?


「俺、純恋のことがす……」


「彰くん!純恋ー!」


「あっ、お母さんっ……!?」


彰が何かを言いかけた時に、私のお母さんが大きな声で私たちの名前を呼んだ。


彰は切なそうに笑っている。


今……なんて言おうとしたのかな。


す……って何?


気になる。


けど聞いちゃいけないような気がして、私はお母さんの方へ駆け寄ってしまった。