「千景くん!!」

 ――隠れてろよ

 そう言われた、だけど。
 このままじゃ千景くんが危ない!

『これで、もう……逃げられない』
「!」

 猫又の声が、頭に響く。
 同時に猫又は、するどい牙を千景くんに向けた。

『お前は、わたしの――!』
「だ、」

 ダメー!!!!

 気がつくと、わたしは花だんから飛び出していた。
 そしてネコ千景くんを狙う猫又の牙を前に、両手を広げる。

「千景くんを食べないで!」
「な!?」

 わたしが出てきて、当然だけど千景くんは怒った。
 同じく猫又も――

『どけ! そいつは私のだ!』

 猫又は怒りに満ちた顔で、わたしに鋭い牙を向ける。
 そしてハイスピードで突進してきた。