「私は、あなたに仕える事が出来て嬉しいです。
 だから、その取り柄を誇ってください」
「!」

 カーくんは、羽を広げる。
 直径一メートルくらいある、黒くてピカピカ光る、キレイな羽。
 その羽をバサリと羽ばたかせ、カーくんはひまわり花壇を抜けていった。

「主と猫又が話が出来るよう、猫又を落ち着かせます。
 その時がきたら、主は猫又の前に出てきてください」
「うん……。
 わたし、やってみる!!」

 千景くんとキキを見ると、巨大な猫又を相手に苦戦をしいられていた。
 まだ人間に化けているキキはともかく、ネコ千景くんは小さいから、すぐにでも踏み潰されそうだよ!

「カーくんには、あぁ言われたけど……。
 待ってるだけって、落ち着かないなぁ!」

 キキは慣れない人間の体を、上手く動かして逃げている。
 カーくんも猫又の周りを飛んで、猫又の目をあざむいていた。
 だけど、ネコ千景くんは――

 バンッ

「うっ!!」

 猫又の長いしっぽにつかまり、地面に叩きつけられてしまった。
 ネコ千景くんは地面に横たわり、顔をゆがめる。