「ほほぅ、知り合いとな?」
「な訳あるか。と言いたいが、知っている。
 この妖怪のこと……俺はイヤっていうほど知ってるぞ」

 千景くんの猫目が、キッと鋭くなる。
 その瞳に浮かんでいるのは――怒り。

「俺に呪いをかけた張本人。
 それが、この妖怪ってこった」

「ほう」
「え!?」

 まさか因縁の対決が、今ここで!?
 ネコ千景くんが人間に戻れなくてイライラしてる、このタイミングで!?
 これじゃまるで火に油だよ!

「クソ妖怪、会いたかったぞ……!」

 呟くネコ千景くんの顔に、シワが寄る。
 二股に分かれた大妖怪のシッポを見ながら【滅】の構えをした。

「俺に呪いをかけた妖怪――猫又!
 今日こそ、この呪いを解いてやるからな!!」

 すると、千景くんに会わせて大妖怪――猫又が『ギャオー!』と鳴いた。
 どうやら、簡単に呪いを解くつもりはないらしい。戦う気マンマンだ。