「今日の帰り道、また仔猫に会うかもしれないと思って家からコッソリ持ってきたの」
「なるほど! 主の心は海より広いですね!」
「お、大げさだよ……」

 苦笑いしながら、バナナの入ったポケットをポンポン叩く。
 よし、これで準備万端だ!

「ただ今より、任務開始。
 ネコ千景くんをソウサクします!」

 すると肩に乗ったキキが「おー」と、面倒くさそうな声を出した。
「なんで嫌ってる相手をワザワザ探さないといけないんだ」って心の声が聞こえる!

 その時。
 クンッと、スカートに重みがかかる。
 不思議に思って、視線を下にズラすと……

「にゃぉ……」
「黒猫……ハッ! まさか、千景くん!?」

 スカートにぶらさがる黒猫。
 それが千景くんだって、すぐに分かった。

 だって、見てよ!
 このフキゲン・マックスな顔!

「さすが主! アッパレです!」
「あはは……。まさか、こんなに早く見つかるなんて」

 わたしとキキが話をする中。
 ネコ千景くんが、スカートからポロッと取れる。
 そして力なく、地面に横たわった。

「千景くん、しっかり! 何があったの!?」