「大丈夫だよ……。
 にしても、いったい何が……」

 キョロキョロとあたりを見渡す。
 すると、

「え」
「……」

 一匹の、白い子猫と目が合った。

「か、可愛い~!!」

 小さい顔に、クリクリした瞳。
 それに、体に似合わない大きな耳!

「ぬいぐるみみたい~!
 ねぇキキ! なでてもいいかなぁ!?」
「……」
「キキ?」

 興奮するわたしとは反対に、まるで石になったみたいにキキは固まっていた。
 どうしたんだろう?

「おーい」とキキを呼びながら、体をチョンと触る。
 すると、ハッと我に返ったキキが、体をブルリと震わせた。

「キキ、大丈夫?」
「はい……主、早く帰りましょう。なんかこのネコ、薄気味わるいです」
「ただの子猫なのに?」

 言いながら、子猫を撫でる。
 すると子猫は、ぺしゃりと地面に伸びてしまった。

「すっごく元気ないね。もしかして、お腹が空いてるのかな?」
「体がやせ細ってますね。この小ささで食べないとなると、長くはもちません」
「それって……」

 死んじゃうって事だよね?
 それは、イヤだな……。
 かと言って、何も食べ物を持ってないし――あ。