「この前タヌキやカラスを、すぐに祓おうとしたのは悪かった。
 けどな。“すべての妖怪が良い奴”ってわけじゃねーだろ。
 人間と同じだ。妖怪だって良い奴もいれば、悪い奴もいるんだよ」

 ぐぬぬ、確かに……。
 そもそもが悪い妖怪なら、いくら話を聞いたところで、いい方向には転ばない。状況は悪くなるだけ。
 イコール、人間のわたし達がキケンな目にあう。

「俺の呪いは、妖怪がかけたものだ。
 妖怪が視えるってだけで、アイツらは絡んでくる。
 こっちは別に視たくて、視てるワケじゃねーってのに」
「じゃあ呪いをかけられた時も……」

「そーだよ。あの日、妖怪と目が合った。
 関わりたくないからムシしてたら、ムカついたのか、追いかけられた。
 ……怖いと思ったよ。そうしたら、呪いをかけられた。
 その時に学んだ。
 妖怪に隙を見せたら、負けなんだって」
「あ、だから、あの時……」

 ――少しでも隙を見せたら、つけこまれんの。俺みたいにな

 あれは、千景くんの実体験だったんだ……。