「まさかお前、あのニワトリと友達になれると思ったのか?」
「友達じゃなくて【浄化】しようと思ってたの!
ニワトリは興奮していただけで、時間がたって落ち着けば、話が出来たかもしれないじゃん!」
「話をして、どーすんだよ」
「妖怪の心が、すくわれるかもしれないじゃん!」
すると千景くんは「ウソだろ……」と、眉の真ん中にシワを寄せた。
「タヌキが食われかけたんだぞ?
それに、お前の体力はどうだったよ?
あのまま走っても、すぐにニワトリにつかまる。
つかまったらどうなっていたか……食われかけたタヌキを見たんだから、カンタンに想像つくよな?」
「そっ、それは……!」
確かに。つかまったら、食べられていたかもしれない。
危険な状況だったかもしれない。
でも、だからって……。
「【滅】の力で押さえつけるのは……違うよ」
いつもクラスの人に話を聞いてもらえず、からかわれて口を閉ざすわたし――
そんなわたしと、さっきのニワトリを、どうしても重ねてしまう。
「……っ」
「……はぁ」
ネコ千景くんは自分のため息を、まるでポイ捨てするように吐き捨てた。