キキとネコ千景くんを、抱っこして走るわたし。
 言っておくけど、体力は全くない。その証拠に、もう息がきれてきた。
 でも二人にケガをさせられないから、走るのは止められない。

 だけど……
 わたしの息の根が、先に止まっちゃうよ!?

「うわ~! 助けてー!」

 泣きながら助けを求める。
 すると――

「はぁ、仕方ねぇな」

 ネコ千景くんが、わたしの腕の中から飛び出した。
 次に、肉球モニモニの手で、再び【滅】の構えをする。
 そして――

「【滅】!」

【滅】の手を、ニワトリに向かってザンッと振り降ろす。
 するとニワトリは「コケェ」と言いながら、ピカピカ光り消えていった。

「はぁ、はぁ……。千景くん、ニワトリを祓ったの?」
「あぁ」

 シュタッと、四本の足でカレイに着地する千景くん。
「礼なら、いらねーぞ」と、わたしを見てふんぞり返っている。

「はぁ、はぁ……ふぅー」

 あのね、千景くん違うの。
 わたしが言いたいことは、お礼じゃなくて――

「なんで祓っちゃったの!?」
「……へ?」

 怒るわたしを前に、ズルリとコケる、ネコ千景くん。
 目をパチパチさせ、おどろいている。