だけど……

『コケー! コケ!!』
「話が出来そうにないなぁ……」

 キキやカーくんと違って、サイズが大きい。
 それなのに暴れるから、少し近寄っただけでも危ない。

 う~ん、どうしようか……。
 すると、わたしの前に、ネコ千景くんがスッと立った。

「タヌキやカラスの時みたいに浄化しようと思ってんなら、やめとけ」
「え……?」

 わたしのしてることって【浄化】だったんだ――
 そう思いながら「どうして?」と聞き返す。

「お前も勘づいてるだろ。
 近寄れば、こっちがやられる。話なんて、できっこねぇよ」
「そうかもしれないけど……」

 千景くんに言い返そうとした、その時だった。

『コケー!!』

 ニワトリが、わたしを目掛けて全力ダッシュする。

 え、全力ダッシュ?
 しかも狙いはわたし!?

「ににに、逃げるよ、千景くん!」
「ぬわ!?」

 ネコ千景くんを抱きしめ、急いで走る。
 キキを見ると、尚もニワトリにくわえられていた。

 走ってる揺れで、いつ飲み込まれてもおかしくないよ!
 早く助けないと!