するとワタワタとあわてるわたしとは反対に、ネコ千景くんがの~んびり呟いた。

「どうすっかなぁ。こんな姿じゃ授業にでられねぇし」
「あ、そっか!」

「まぁテキトーに時間つぶすか。
 小羽は戻れよ。そろそろチャイム鳴るぞ」
「え……あ、うん」

 確かに、ネコは教室に入れない。
 かと言って、千景くんを置いて一人で教室に戻るのも……。

 う~ん、と悩んでいた、その時。
「そういえば」と、ネコ千景くん。

「今日はウルセー奴がいないな」
「“ウルセー奴”?」
「決まったんだろ――タヌキだよ」

 タヌキ――そう言われて、やっと気づく。
 そう言えば、キキがいない。

 一緒に登校したのに、どこではぐれたんだろう?
 まさか迷子!?

「探しに行かなきゃ!」
「わざわざ妖怪を? やめとけやめとけ。どうせ、その辺で遊んでるっての」
「でも……」

 するとネコ千景くんが「お」、と。
 何かに気づいたようで、わたしの後ろを指さしている。