「熱でもあんのか?」
「あ、ありあり、ありません!」

 千景くんが、わたしのおデコに手をおく。
 予想しなかったことに、思わず顔を赤くしてしまった。
 すると、それに気づいた千景くんも……。

「お前、なんで赤くなってんだよ!」
「ち、千景くんこそッ」

「俺はいつも通りだろ!」
「そんな事ないよ! タコみたいに顔が真っ赤だよ!」

「誰がタコだ!」と、再び魔王に戻った千景くん。
 すると、その時。

 ボワン

 いきなり白いけむりが現れ、千景くんがのみ込まれる。
 しゅうぅぅ、とけむりが晴れた後、そこにいたのは――

「ニャー」
「ネコ千景くん……こんにちニャ」

 すっごくフキゲンそうな黒猫ちゃん。
 ネコ千景くんの、ご登場だ。

「さっきの言葉にムカついたから、お前の顔面でツメといでやるからな」
「ひぃっ!?」

 ごめんなさい!と、ネコ千景くんにあやまる。

 だけど正直、助かったかも。
 だって、さっき変な空気になったっていうか……。

 ――ありがと、小羽
 ――熱でもあんのか?

「~っ」

 ネコ千景くんにバレないように、赤くなった顔にパタパタと風を送る。

 今日のわたし、なんか変だ!