「あれ? 二人一緒なんて、めずらしいね。
 もしかして友達になったの?」
「え……」

 顔を上げると、いたのは千景くん。
 思わぬ王子様の登場に、静ちゃんは目をハートにした。

「千景くん! おはよう!
 そうだよ、わたしたち友達になったんだぁ! 名前で呼び合う約束をしたんだよ」
「え!」

 わたしたち友達なの!?
 静ちゃん、王子様を前に興奮して、頭がちゃんと働いてないんじゃ……!?

「静ちゃ、ぐふゥ!?」

 静ちゃんに「早まらないで!」と言おうとしたら、千景くんに肘でほっぺをグリグリされる。

 い、いたい!
 あなたの肘に、ドリルでも埋まってるんですか!?

 千景くんは、皆に見えない位置で、わたしにドリル攻撃をかます。
 そしてわたしを黙らせておいて、静ちゃんと平気で話を続けた。

「へぇ、友達かぁ。いいなぁ。
 俺も、休田さんと小羽さんと友達になりたいなぁ」
「ちょ、ぐふ!」

 肘ドリル、ふかい……!
 わたしに反論のスキを与えない千景くんに、静ちゃんは超高速でうなずいていた。