わたしと同じく休田静ちゃんも、おどろいた顔でわたしと千景くんを、交互に見ていた。
 それなのに、この男ときたら……。

「じゃあ俺は戻るね。
 小羽さん、あとは頼んだよ」

 それだけ言い残して、本当に去ってしまった。
 まさかだけど……。

 わたし、全部押し付けられた!?

「小羽さん、ごめんね。わたしに付き合わせちゃって」
「え、ぜ、全然! だだだ、大丈夫!」

 悪いのはすべて、千景くんだから!
 とは言えず黙っていると、休田静ちゃんは、千景くんの後ろ姿を見て顔を赤らめていた。

「ど、どうしたの?」
「ごめん、なんでもないの! 千景くんに目をうばわれてただけ!」
「目を……!?」

 言葉の言い回しだと分かっていても、魔王サマ千景くんが、目玉を手に持つ姿を想像してしまう……。
 いつも魔王サマ千景くんしか見てないから、実感ないけど……やっぱり千景くんって、人気があるんだなぁ。
 まぁ、わたしには関係ない事だけどね!

「あ、それより。休田静ちゃん」
「どうしたの?」

 ボブの髪をきゅるんと揺らして、休田静ちゃんはほほ笑んだ。