「それを、どうするの?」
「……フッ」

 なんで微笑むだけ!?
 その笑みに不安を覚えるのは、私だけ!?

 すると千景くんはボディーソープを、カラスさんの上から、容赦なくドバドバ垂らした。
 次に、ゴム手袋を取りだす。
 そして……
 ゴシゴシ
 なんと、カラスさんをキレイにし始めた。

「えっと……千景くんなにしてるの?」
「そーじ。ってか風呂」

「だから、なんで?」
「…………はぁ」

 な……!
 その「説明するのメンドクセー」みたいな顔とため息は、なに!?

 すると千景くんは「説明すんのメンドクセー」と。
 私の心の中のセリフを、そっくりそのまま言った。

「どうせお前、コイツを祓わないんだろ?」
「……うん。祓いたくない」

「ってことは、だ。
 そのタヌキ共々、これからも行動を共にするわけだろ」
「え……」

 そうなるのかな?
 カラスさんを見た後に、キキを見る。

 するとキキは、わたしの手とカラスくんの翼を、両方の手でキュッと握った。
 まるで「離れたくない」と、そう言っているみたいに――