すると千景くんが手をくずし、わたしを押し返す。
【滅】の力が薄れたのか、カラスを包んだ炎はすぐに消えた。

 よかった! 消化完了!

「あー! 何してくれてんだ!」
「何って……こっちのセリフだよ!
 いったい何回”やめて”って言ったと思ってるの!?」
「う……っ」

 ガンッと強く言うと、千景くんは気まずそうに黙った。

 よし……、勝ったぞ。
 妖怪より妖怪っぽい人に!
 さあ、千景くんが黙った、今がチャンス!

 わたしは、横たわるカラスに、ゆっくり近寄った。
 羽の先が少しだけこげてる。もう飛べないのかな……。

「さっきはゴメンね。お話しできる?
 良ければ、君のことを聞きたいな」

 するとカラスは、一度だけムクリと頭をあげた。
 かと思えば、また地面に横たわる。