「ねぇキキ、千景くん。
 このカラスの妖怪は、悪い妖怪じゃないと思うよ。
 むしろ、すごく頭がいい気がする……っていうことは。
 さっき私たちが教室にいる時に、大きな声で鳴いたアレ。
 アレにも、なにか意味があるんじゃないかな?」

「ほう」と頷くキキ。
 一方で千景くんは、わざとらしく、ため息をはいた。

「はぁ~。だから嫌だってんだよ。
 妖怪と友達ごっこしたいなら、お前だけにしろ。俺を巻き込むな」
「む……。友達ごっこがしたいんじゃなくて、わたしは話を聞いてあげたいの!」

 だけど、わたしの言葉を聞く気はないらしい。
 千景くんがわたしのデコに、ビシッと人差し指をつきつけた。

「妖怪と人間は、相容れないんだよ。仲良くなれねーの。
 それに少しでも隙を見せたら、つけこまれんの。

 俺みたいにな」

「え?」

 今、なんて言った?
 つけこまれる? 千景くんが?

 聞き返そうとしたけど、千景くんはすでに手を構えていた。
 あれは……【滅】だ!