「キキ……、わたしたちも行こう」
「どこへですか?」
「じ、人命救助!」
あの最恐の魔王サマ千景くんと二人きりになったら、休田静ちゃんが危ないよ!
それに――
「ついて来いって……。そう千景くんに言われた気がしたの」
「フン、主をカンタンに呼びつけるとは。不敬(ふけい)な」
そうして――
私とキキ、千景くん。さらには、気を失っている休田静ちゃん。
この四人は保健室……ではなく。
人気のない、校舎裏に移動した。
すると、どこからともなく。
バサリと黒い羽をはばたかせ、あのカラスもやってきた。
「部外者が寝てんなら、ちょうどいいな」
休田静ちゃんを降ろした千景くんが、首をゴキゴキッと鳴らす。
あぁ、王子様ではなく、もう魔王様になってらっしゃる……。
ハハハと、乾いた笑いを浮かべるわたし。
その横で、キキと千景くんは早くもにらみ合っていた。