するとキキは「まずいですな」と、眉を八の字にする。

「マズイ? 何が?
 あ、何か光るモノがあるのかな。
 カラスって、光るモノが好きだよね?」

 すると、キキは首をふる。
 そして……

「狙われているのは人間ですぞ。
 あのカラスは――妖怪です」

 ◇

 教室に戻った、わたしとキキ。
 キキは、わたしの肩にずっといるけど、妖怪だから他の人には見えない。
 もちろん千景くんは別……だけどね。

「主、いましたぞ。例のカラスです」

 窓の外に、大きな樹が一本生えている。
 カラスは、その枝にとまっている。
 黒色の体の周りに、紫のオーラをまとっている。
 しかも、最初のキキの時のように、目が赤色だ。

『カアー!!』

「わぁ……ッ」

 思ったよりも大きいカラスの声に、思わず耳を塞いでしまう。

 カラスって、こんなに大きな声が出るんだ……!
 それとも妖怪だから?

「耳障りですな」

 さすが妖怪のキキは、耳をふさぐ事はしない。
 だけど、うっとうしそうに顔をしかめた。
 そして、先に教室の戻っていた千景くんも――

「……」

 わたしと同じように、ジッとカラスを見ていた。