「ええい、口をつつしめ小童が!
花りん様こそ、わが主!
僕を助けてくれた恩は、生涯かけ主を守ることで返させていただくのだ!」
「へ、えぇ~!?」
目をパチクリさせ、おどろくわたし。
その横で「げぇ……」と、千景くんはドン引きしていた。
「いまどき式神なんて、はやらねーよ」
「し、式神って……」
式神って確か、陰陽師が使役する神とか妖怪とか……そういうことだったよね?
ん? 陰陽師?
「わたし、陰陽師じゃないよ?」
「もちろん知っておりますよ、主!」
「し、知ってますって……」
じゃあ、どうしてわたしに仕えるんだろう。
わたしを「主」にしたって、良い事ないよ!?
「もっと力のある人に仕えた方が、いいんじゃないかな?」
「ほう、例えば?」
「えっと……。あ、千景くん!」
言うと、千景くんは「はあ!?」と驚いた。
「バカ! なんで俺なんだよ!」
「だって千景くんは、祓うことが出来るんでしょ?
ネコにだって、化けることができるし!」
すると、不機嫌な千景くんの顔が、ますます不機嫌になる。