「まさか、本当に妖怪とお友達ごっこしてんのか?」
「いや、お友達っていうか……。
 ”主”って呼ばれるようになりまして」

 かくかくしかじか――
 昨日の経緯を、千景くんに説明する。
 絶対に文句を言われると思ったけど、千景くんは「分かった」と言って、わたしの肩をポンッと叩いた。

「お前、友達じゃなくて……本当はペットが欲しかったんだな」
「へ? いや、キキは、そういうんじゃなくて、」

「もう名前までつけて……」
「だから違うって! あわれみの目を向けないで!」

 すると、わたしの肩に乗っていたキキが「おい」と口を開く。

「そこの小童。さっきから主に向かって失礼なヤツめ」
「タヌキ、コイツを主にするのはやめとけ。
 度胸はあるが、けっこうポンコツだぞ」
「え……?」

 今、わたしのこと「度胸ある」って、褒めてくれた?
 あの魔王サマ千景くんに褒められて、ちょっぴり嬉しい。

 だけど、千景くんの言い方が気に入らなかったのか。
 キキがわたしの肩に、小さな足で仁王立ちをした。