「”こっちを見ろ”、だって……?」

 見るワケないじゃん!
 だって見たら最後、絶対にからまれるもん!
 そんなのイヤ!
 わたしは無事に、学校に行きたいの!

「スルーだ、逃げろー!」

 足に力をこめて、全力ダッシュ!
 逃げても声は聞こえるかも――と思ったけど、不思議なことに。
 それ以降。
 あの声は、まったく聞こえなかった。

 ◇

 教室につくと、クラスのみんなは、もう登校していた。
 わたしは声に振り回されながら来たから、遅くなっちゃった。

「はぁ……」

 朝だっていうのに、疲れた。
 椅子に座って、ランドセルの中を整理する。
 そして、スライムのように、机にダラリと体を置いた。

 だけど、この席は窓の近くだから、机が朝日でポカポカ状態!

 ジュー

「あっつ……!」

 まるでフライパンの上で焼かれる目玉焼きだよ!

 ガマンできなくて、勢いよく飛び起きた。
 すると――

 ガンッ

「いったー!?」

 急に立ちあがったわたしの頭に、またもや固い何かが当たり、チカチカと星が飛んだ。
 今日、ぶつかってばかりだ……!