怯えるわたしの耳に、千景くんは顔を近づける。
 そして――

「お前の肩に乗ってるペットを祓われたくなければ、大人しくいう事を聞け」
「は、はひぃ……」

 さすが千景くん。
 なんでもお見通しだ。

「ふん。僕の姿が見えるとは、気に食わん小童(こわっぱ)だ」
「あぁ?」
「キキ、シッー!」

 そう。千景くんの言う通り。
 わたしの肩には、昨日出会ったキキが乗っている。
 なぜ一緒に過ごしているかというと――

 実は、昨日の一件以来、キキはわたしを「主」と呼んで、離れなくなってしまった。
「主じゃないよ、違うよ」って、何度言っても納得しない。
 だから今日も、仕方ないから一緒に登校してきた……というわけなのです。

「俺を”小童”呼ばわりか。フン、気に食わねぇ」

 ゴキッと指を鳴らす千景くん。
 まさか、「滅」をするために指の準備運動をしてるわけじゃないよね!?