「わたし、キキに会えて嬉しいよ。
 登校中、わたしに話し掛けてくれてありがとうね。
 初めは、どんな怖い妖怪かと思ったけどさ~」
『花りん……いや、主(あるじ)!』
「……へ?」

 聞き間違いかな?
 いま「主」って聞こえたけど……。

 でも朝から色々あって疲れたわたしは、急にスゴイ眠気におそわれる。

「ふわ~。いい天気だし、ひと眠りしようか。
 キキも一緒に。ね?」
『主は、もう僕が怖くないのですか……?』

 悲しそうに尋ねるキキ。
 そりゃ初めは攻撃もしてくるし、怖かったけどさ。

「キキは優しいタヌキだって分かったから。
 だから、もう大丈夫でしょ? キキ」
『……はいッ』

 スリスリと、わたしの足に頬をスリ寄せるキキ。
 さっきまで「怖い妖怪」と思っていたのがウソみたい。

 あ。
 そう言えば、もう一人いたなぁ。
 最初と今で、イメージ違う人。

 もちろん、野良千景くんのこと。