「だから触るなって言ったのに……。
 くそ、小羽のバカやろー! 絶対に許さないからな!
 二度とお前に触られないよう、遠くに行ってやる!」

 そう言い残し、ネコ化した千景くんは、本当に行ってしまった。
「授業中だからシー」と言っていた本人が、叫びたい放題さけんでたけど……まぁ、いいか。

「はぁ……。なんか、疲れた一日だったね」

 まだ朝だけど――自分にツッコミながら、タヌキくんへ近づく。
 すると、気絶していたタヌキくんは目を覚まし、まっすぐわたしを見た。

「ねぇタヌキくん。今日は疲れたからさ。
 二人でゆっくり、お話しない?」
『!』

「わたし、タヌキくんの事をもっと知りたいな。
 そうだ! 名前を考えようよ。
 タヌキの最後の文字をとって、キキっていうのはどう?」
『……キキ?』
「そう。気に入った?」

 すると、タヌキくん――キキは、コクンと頷いた。
 かわいい仕草に、思わず笑みが浮かぶ。