「千景くん、協力してほしい。
 タヌキくんを元に戻せるよう……
 わたしと一緒に頑張ってくれないかな?
 お願いします!」
「……チッ」

 ひー! また舌打ちされた!
 もしかして千景くんと協力なんて、永遠に出来ないんじゃ――!?

 そう思っていると、

「仕方ねぇな」

 千景くんは構えていた手をゆっくり降ろし、タヌキくんの元へ走っていく。
 え、ちょっと待ってよ!

「危ないよ千景くん、戻って!!」

 わたしが叫んだと同時に、千景くんは「わるいな」とつぶやいた。
 タヌキくんは、もう、目の前だ。

「俺は、祓う以外やったことがない。
 浄化なんて生ぬるい事してたら、こっちがやられるからな。
 だから――俺は俺のやり方で、やらせてもらうぞ」
「ま、待って!」

 ブンッ

 千景くんは、腕をふり上げる。
 まさか、やっぱり【滅】とか言うんじゃないの!?

 って心配したけど……

 ドゴッ

「はい、気絶」
「……あれ?」

 タヌキくんの首に、華麗にチョップをした千景くん。
 クリティカルヒットしたのか、タヌキくんは白目をむいて気絶した。