わたしとタヌキくんの間に立ったのは、千景くん。

「結界」と言ったことにより、一瞬だけ、星の形が千景くんの前に現れる。
 するとタヌキくんは星に弾かれ、大きく後ろに下がった。
 どうやら星は、バリアの役割があるみたい。
 その後、星はすぅと、消えていった。

「ち、千景くん……ありがとう。
 でも、なんでここに? 帰ったんじゃ……」
「あほか。知り合いがやられるのを、黙って見てるわけないだろ」
「ち、千景くん~!」

 泣きながら鼻水を流すわたしを見て、千景くんはドン引きしていた。
「きったねーな」と、わたしに白い目を向ける。

 でも、いいんだ。
 だって千景くんは、わたしを助けてくれた。
 見た目は怖いけど、本当はとっても優しい人なんだって。
 本当の千景くんを知れたから。

「千景くん、本当にありがとう~!」
「かんちがいすんなよ。アトアジが悪いってだけだ」

 ん? アトアジ?
 千景くんは、わたしに背中を向けたまま話す。

「恨みを残したお前が妖怪になって、今度は俺を襲うかもしれないだろ?
 なんで助けなかったんだー!、ってな。
 そんなのは死んでもごめんだからな。だから助けたまでだ」
「いくらなんでも、わたしは妖怪にならないもん!」
「ふん、どーだかな。
 ほら――また来たぞ」