「あ!」

 タヌキくんの目が、金色から赤色に変わって来た。
 いくら横で「タヌキくん、しっかり!」と言っても、私の声は、タヌキくんに聞こえないみたい。

『ニンゲン、許さない……!』
「タヌキくん!」

 わたしが伸ばした手もむなしく、タヌキくんにバシッと叩かれてしまう。
 すると、さっき校舎についたようなひっかき傷が、わたしの腕に浮き上がった。

「うっ!」

 腕から、血がジワジワにじんでる。
 少しだけ痛くて、思わず顔をしかめた。

「タヌキくん……っ」

 仲直り出来ると思ったけど、ダメなのかな?
 さっきまで、あんなに会話が出来ていたのに!

「目を覚まして、タヌキくん!」
『ギャオ―!!』

 ブンッ

 タヌキくんが、わたしに向かって鋭い爪を振り上げた。
 当たっちゃう……!!
 体を小さくして身構えた、その時だった。

「だから言ったろ、あほらしって――

【結界(けっかい)】!!」