するとタヌキは、赤い目でジッとわたしを見る。
 この妖怪は、会話が出来るのかな?
 だったら良いんだけど……。

「わたし、小羽花りん。あなたの敵じゃないよ。
 わたしは、あなたを助けたいの!」
『! 花りん……?』

 タヌキは、わたしの名前を聞いて、ピタリと止まった。
 何だろう……?
 タヌキくんが次に何をするか分からなくて、思わず体に力が入る。

 だけど――

『う……っ、うわ~ん!』

 なんとタヌキくん。
 その場に座って、人間の子供のようにエンエンと泣き始めた。

『うわ~ん! うわ~ん!』

 目からポロポロ流れる涙が、すごく悲しそう。
 ナデナデしたら、怒るかな?

「えぇい、イチかバチかだ!」

 タヌキくんに近寄り、ヨシヨシと頭をなでる。

『花りん……?』
「泣き終わるまで、ここにいるから大丈夫。安心して。
 君は一人じゃないよ」

 ニカッと笑うと、タヌキくんの目の色が変わり始めた。
 赤色から、だんだんと――まぶしいほどの金色へ。