「こっちが乗っ取られる前に……。
 聞きたいことだけ聞いて、さっさと祓うぞ!」

 あのポーズは、陰陽師がよくする「祓い」のポーズ!
 どうして千景くんが!?
 っていうか、妖怪を祓えるの!?

 ワタワタ慌てるわたしをムシして、千景くんは祓いのポーズのまま、ゆっくりモヤに近づく。

「おい妖怪、聞きたいことがある。
 お前は、妖怪がかけた呪いを解く方法、知っているか?」
『……』

 大人しいから、もしかしたら話を聞いてくれる妖怪なのかな?って。
 そう思った時だった。

『ギャオ―!!』

 モヤは、ケモノみたいな声を出す。
 まるで、千景くんを威嚇しているみたいだ。

「また”コレ”か。お話にならねーな」
「お話しにならなかったら、どうするの……!?」

 すると千景くんは「決まってるだろ」と、モヤを見つめた。

「何も情報を持ってないなら、この妖怪に用はない。
 だけど、野放しにしたら被害が出る凶暴さだ。
 だったら【滅(めつ)】で祓う。それだけだ」
「え……」

 妖怪に向かって突進していく千景くん。
 そんな彼に、必死に手を伸ばす。