「ほら、言った通りだろ?」
「んな……!」

 癒しのオアシス――ネコちゃん。
 ネコちゃんには、ココにいてほしかった……。
 千景くんのかわりにネコがいなくなるなんて、あんまりだよ!

「お前、いま失礼なことを考えたな?」
「いえ、そんなことは」

 いっさい目を合わせないわたしを見て、千景くんはため息をつく。
「はぁ」という、わざとらしい声付きで。

「もうバレたし、仕方ないから話すぞ。
 俺が何の呪いにかかってるか。
 それは――」

 だけど、その時だった。

『やっと、やっと……来てくれた……。
 ずっと、待ってたんだ……』
「!」

 わたしの耳に、声が聞こえる。
 それは――登校中に聞いた、妖怪の声。

「ち、千景くん……!」

 見ると、千景くんは「へぇ」と頷く。
 わたしを見て、なぜか感心しているようだった。

「本当に聞こえてんだな、妖怪の声。小羽の顔が真っ青になったぞ」
「お、面白がってないで逃げようよ!」

 千景くんの手を握ろうとすると、サッとよけられた。
 あ。「きやすく触んな」って、顔に書いてある。
 なんて失礼な!