ギュッ

「ねぇ静ちゃん、聞いてもイイ?
 わたし達って……、友達かなぁ!?」

 すると静ちゃんは、キョトンとした顔をした。
 そして、さっきよりも大きな――この学校中に響き渡る声で、返事をする。

「当たり前だよ!」
「え――」

「わたしの調子が悪かった時、助けてくれたでしょ?
 あの時、やさしい花りんちゃんと友達になりたいって思ったの!」
「静ちゃん……っ」

 返事を聞くのが怖くて、下をむいていたけど……。
 静ちゃんの言葉に、自然と顔が上がる。
 すると、流れそうだった涙は、あと一歩のところで落ちなかった。

 わたし、泣かなかった。
 千景くんの、いうとおりだ。
 わたしはもう――こわがりで臆病者の花りんじゃない。
「ほら花りんちゃん! せっかくの自習だし、一緒にお話ししよ!」
「わかった、すぐ戻るね!」

 静ちゃんは、わたしにヒラヒラと手を振る。
 その時、ニャーちゃんが少しだけ目を開けた。