「主を怒るとは、コイツ、コイツ!」
「あ~もう! “主バカ”が!
ちょっと花りんと話してただけじゃねーか!」
ポカスカ叩き合う二人を、生ぬるい目で見るわたし――に抱かれるニャーちゃんと、肩に舞い降りたカーくん。
「主、止めなくていいのですか?」
「わたしが入ったところで、止まらないだろうし……」
「なら放っておけ。俺は寝る」
「さすが、ニャーちゃん……」
苦笑を浮かべていると、ビックリなことに、上から声が降ってくる。
「おーい、花りんちゃんー!
そんな所でなにやってるの~?」
「この声は……静ちゃん!」
「戻っておいでよ! 授業なくなって自習になったから暇なんだ~」
「あ……」
その時、いつかの静ちゃんの言葉を思い出した。
――わたし達、友達になったんだあ!
あれは、千景くんの前だからこそ出た、その場限りの言葉だと思ってた。
だから本当のことを知るのが怖くて、聞くのを避けていた。
だけど――
――お前、怖いものなしじゃねーか
「……っ」
千景くんにもらった言葉を勇気に変え、不安や心配は手の中にしまい込む。
「一応友達第1号」から「一応」を、とるために――