信じられなかったけど、千景くんの言葉を信じてみたくって……。
 ふるえる下くちびるを、キュッと噛んだ。
 そんなわたしを見て見ぬふりをして、千景くんは「だから」と続きを話す。

「仕方ないから、もう少しお前と一緒に、妖怪探しを続けてやるよ」
「え……」

「むちゃくちゃする花りんの暴走を、俺が止めてやるって言ってんの。
 花りんに何かあるのも、イヤだしな」
「千景くん……ありがとう。
 絶対、呪いを解く方法を見つけようね!」

 千景くんは「フン」と鼻を鳴らす。
 照れ隠しなのか、なんなのか。
「それにしても」と、わざとらしく話を変えた。

「お前の”常識が通じない力”は、一体どうなってんだよ」
「力? 私はなにも、」
「【浄化】だっての。
 妖怪が心を許して仲間になるなんて、普通ならありえねーぞ」
「そうなの?」

 というか、わたしは【浄化】してるつもりはなくて……。
 ただ話を聞いてあげたい。それだけなんだけどな。