「ねぇ猫又、名前をつけてもいい?」
『なんでも言ってみろ』

「じゃあ、ニャーちゃん!」
『……』

 え、マズかったかな!?
 だけど猫又は、また「フッ」と笑ってくれる。
 その目は、もう赤くない。
 よかった……、無事に【浄化】が出来みたい。

「これからよろしくね、ニャーちゃん!」
『あぁ』

 和やかなムードに包まれたわたし達。
 そして、そんなわたし達を見る――九尾。
 わたしは猫又から離れて、九尾に向かい合った。

「あなたは九尾だよね?
 助けてくれて、本当にありがとう」
『……』

 九尾は、何も言わない。
 だけど静かで……穏やかな顔をしている。

「あなたのおかげで、ニャーちゃんを含め、皆が助かったよ。
 本当にほんとうに、ありがとう!」

 ペコリとお辞儀をする。
 すると、九尾は首を振った。
 そして――

『先に助けて貰ったのは、私の方だよ』
「え……?」

 九尾は、千景くんが持っているバナナを見る。
 そして「あれは美味しかった」と、頬を緩ませた。