「千景くん! 猫又が目を回してるよ!?」
「それで呪いが解けるなら、俺は手をとめねぇぞ!」
「気持ちは分かるけど、やり方がらんぼうだよ!」

 すると上空からカーくんが戻り、「主」と、わたしの肩にふわりと乗った。
 猫又により遠くに飛ばされていた人間キキも、自力で戻って来る。
 そして「主~」と泣きながら、わたしを抱きしめた。

 ギュッ

「主! おケガはないですか!?」
「うん、大丈夫だよ! キキも無事だったんだね、良かった!」
「うぅ~、お傍を離れてすみませんでした!」

 キキは人間の姿のまま、わたしにギュッと抱きつく。
 すると、「おい」の声。
 現在、怒りが頂点に達している千景くんが、わたしに抱きつくキキの腕を、すばやくひねりあげていた。

「いてて!」
「今すぐに花りんのそばを離れた方がいいんじゃねーか?」

「は? 何を言うか! 僕は主をお守りするために、」
「ほ~。自分の命が惜しくないんだな」

「へ!?」
「とりあえず、こっち来いよ、化けタヌキ。
 俺は今、虫の居所が悪いんだ……!」