「ねぇ、猫又。
 千景くんがネコ化する呪いは、どうやったら解けるの?」
『……解く必要があるか?』
「あるだろ!!」

 千景くんの素早いツッコミに、わたしは思わず苦笑い。

「猫又、千景くんは呪いに困ってるの。
 昨日もネコから戻れなかったし……」
『それは俺が近くにいたから、呪いの法則が乱れたんだろうな……ふむ。
 だが残念ながら、呪いを解く方法は俺も知らないんだ』

「え……」
「はあ!?」

 ししし、知らない!?
 じゃあ千景くんは、一生、ネコと人間を代わる代わる演じるハメに!?

 ……無理だよ!
 すでに王子様と魔王様を演じ分けてるのに、プラスして、ネコの役まで!

「ふっざけんなよ、猫又!
 俺の人生を、どうしてくれんだ!」

 千景くんは猫又のヒゲをつかんで、ガシガシ揺らした。
 近くにいた九尾は空気を読んだのか、猫又からソッと離れる。
 大妖怪からも気を使われる千景くん、やっぱ最強なのでは?――とわたしが恐れたのは、言うまでもない。