人間の手足を見て安心したのか、千景くんはハァ~と長いため息をつく。
 一方、久しぶりの魔王サマ再来に、わたしは安心するやら、背筋が伸びるやら……。

 いや、自分の肩の力が抜けてるから、きっとわたしも、うれしいんだと思う。
 ネコ千景くんが、人間の姿に戻って――良かった。

「マジでどうなることかと思った……あれ?
 そういや猫又は?」
「え?」

 わたし達を、おそっていた猫又。
 そういえば静かだ。静かすぎるっていうか……。

 フシギに思って猫又を見ると、おどろく光景が待っていた。

「千景くん、アレ!」
「大きな……狐?」

 猫又よりも大きな狐が、猫又の頭を押さえつけていた。
 大きな狐に踏んづけられた猫又は、ジタバタあがくも、抜けられない。
 どうやら猫又よりも、狐の方が強いらしい。

「でも、なんで狐が……?」
「おい、花りん。アレを見ろ」
「え……、あ!」

 千景くんが指をさす。
 見ると、狐のしっぽがあった。
 しかも九本!