「さっさと逃げろ、花りん!

 ――【結界】!!」

 バチッ

『ぐおぉぉー!!』

 なんと、空からネコ千景くんが降ってきた!
 コケたわたしの上に着地して、千景くんはすぐ【結界】を張る。
 効果はバツグンだったようで、猫又はうめき声を上げながら、少しずつ下がっていく。

「ふー、危機一髪だったな」
「ち、千景くん! どうして……!」

 すると、猫目を細めた千景くん。
「どうして、だぁ?」とわたしを睨んだ。

「何も出来ないお前が一人で突っ走ったところで、結果は目に見えてるだろ!
 お前の暴走を止めるために、カラスを振り切って、俺が自ら落ちてきたんだよ!」
「そ、そうなんだ!?」

 上空を見ると、カーくんが「カァ」と悲しそうに鳴いた。
 まるで「主、すみません」って謝ってるみたい。

 大丈夫。カーくんは、よくやってくれたよ!
 千景くんの力が、とんでもなく強いだけ!

「にしても、そんなズバズバ言わなくたって……」

 わたしは、千景くんを守りたかった。
 ただ、それだけなのに……。

 すると、千景くんが「あ~」と。
 小さなネコ頭を、らんぼうにボリボリかいた。