ザリッ

 震える足に力を入れる。
 すると猫又よりも先に、千景くんがやってきた。

「花りん!」

 ネコ千景くんは思いっきりジャンプをして、わたしの体に飛び込もうとする。
 だけど……

「カーくん、千景くんを助けて!」
「は?」

 キョトン顔の千景くん。
 そのすきにカーくんが空からまいおり、ネコ千景くんの首根っこをくわえた。

「カーくん、絶対に千景くんを降ろさないでね!」
「わかりました、主」

 うなずいたカーくんは、スゴい勢いで、この場から離れていく。
 グングン昇っていくカーくんと千景くんを見て、ホッと安心できた。

 だけど当然、千景くんは気に入らないみたい。
 上空で「おい離せ!」と、カーくんに抵抗する声が聞こえる。

「バカ小羽! 一人じゃなんも出来ねーだろうが!
 こんな時に強がってんじゃねーよ、死ぬぞ!」
「そ、そんなハッキリ言わなくてもいいじゃん!」

 カーくんと同じで、千景くんも言い方がキツイんだから、もう!