中条くんの動きが一瞬止まった。
 時間が止まる魔法をかけられたように、全く動かない。

「……さ、桜さんが僕のことを?」
「うん、好きだよ」

「僕のこと好きってことは……じゃあ、僕たちはお互いに好きだってこと?」
「そうだね、両想いだったんだね」

 あらためてこれまでのことを考えると、すごいことだなって思った。

 ケーキを持った私が偶然、中条くんを助けて、それから色々あって。中条くんの秘密も知って……。

 あの時、もしも公園の前を通らなくて、助けなかったら、私たちはこんなふうにはなっていなかったのかな?

 仲良くなるまでの流れも不思議だけど、一番の不思議は――。