私は今、中条くんに告白された?
 私じゃなくて、お菓子が好きって言ったのかな?

「私のことが、好き――?」

 おもわず聞き返してしまう。

「そう、桜さんのことが好き」
「な、なんで? 私が作ったお菓子ではなくて?」

 中条くんはうなずいた。

 信じられない……本当に信じられないよ――。

「桜さんが作ってくれたお菓子も好きだよ。食べると、本当に、本当に幸せな気持ちになれるんだ。甘くて美味しくて……そして僕が食べてる時に、じっと見てくる桜さんも、可愛くて好き」

 中条くんは、はにかみながら微笑んで、私をじっと見た。

 くもり空で、室内は薄暗かったけれど、今、窓から日差しが差し込んできた。

 光がちょうどふたりを包み込む。

 ちょっと前までの私は、私以外の人が作ったお菓子にも中条くんは「美味しい」って言っちゃうの?とか、私にウソついてたの?とか……ひとりで色々考えて、もやもやした気持ちでいたよね?

 だけど今は、告白されて――。

 しかも私が作った甘いお菓子だけ、甘くて美味しく感じてくれるって。

――中条くんにとっての私は、特別ってこと?

 じわじわ、うれしさが込み上げてくる。
 同時に涙も込み上げてきた。

 中条くんの涙を拭こうと思っていたハンカチで自分の涙を拭った。

「桜さん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。びっくりしちゃって……」

 どうしよう、中条くん。今すぐ私も、気持ちを伝えたいよ――――。