私が中条くんに対して唯一出来ることは――。

「中条くん、これからは、中条くんのためにもっとたくさんお菓子を作る!」

 私は真剣に中条くんを見つめた。今まで味わえなかった幸せを、たくさん中条くんに届けたい――。

「もっとたくさん、作ってくれるの?」
「うん、作る。作りたい!」
「どうしてそんなに、僕のために?」

――中条くんが好きだから。

とは言えなくて。

「中条くん、私が作ったお菓子を食べてる時、すごくキラキラしてくれるの。だから作ってよかったなぁって、心の底からそう思わせてくれて――」

「だって、本当に桜さんが作ったお菓子は、甘くて美味しくて。食べると幸せな気持ちになれるから……」

「私もね、キラキラしている中条くんの顔をみたら、いつも幸せな気持ちになれるよ」

 私は自然に笑みがあふれてきた。

「どうしよう、なんか泣きそう」と、中条くんの目がぬれてきた。