いよいよ式も終盤に差し掛かり、ある意味一番の見せ場がやってきた。
『げっ……!』と顔を顰めるレーヴェンとニクスを他所に、リエートはベールに手を掛ける。

「と、取るぞ」

「はい」

 笑顔で頷く朱里に対し、リエートはかなり緊張している様子。
顔だけじゃなく耳まで真っ赤にしながら、ゆっくりと慎重にベールを上げた。
そして露わになった朱里の顔を見るなり、

「くっ……!可愛すぎる……!」

 と、人目も憚らず悶絶する。
でも、誰一人として彼の行動を咎めなかった。
だって、皆気持ちは同じだったから。

 マジで超綺麗じゃん、朱里……!
ここ数年で更に大人っぽくなったからか、化粧でちょっと子供っぽくした今の顔はヤバい!
ギャップで心臓をやられる!
女の私でもコレなんだから、男性陣はかなりヤバいだろうな……!

 と思いながらニクスやレーヴェンに目を向けると、案の定胸を押さえていた。
さすがにニヤケ顔を晒すような失態はしないが、平静を装うのに必死なのは分かる。
何とか表情を取り繕う彼らの前で、リエートは大きく深呼吸した。
かと思えば、意を決したように顔を近づける。