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「だからね、アカリが『嘆きの亡霊』を使って私を呼び出そうとしてくれた時、とても嬉しかった。でも、貴方のことだから自分の体を譲ろうとすると思って……行けなかったの」

 ちょっと寂しげな表情を浮かべ、リディアはコツンッと額同士を合わせた。

「本当はアカリが天寿を全うして、こちらに来てからたくさん関わろうと思っていたわ。でも、黒髪の男性のことが……魔王のことがあって、ここへ来たの」

 そっと額を離し、至近距離でこちらを見つめるリディアはうんと目を細める。

「完全に予定が狂ってしまったけど、貴方にこうして会えてとても嬉しいわ」

 はしゃぐような声でそう言い、リディアは蕩けるような笑みを浮かべた。
幸せで幸せでしょうがないといった素振りを見せながら、そっと私の手を握る。
ここに存在することを確かめるかのように。