「まあまあ、そんなに警戒しないでおくれ。僕は君に危害を加えるつもりなんて、ないよ?」

「……不法侵入者の言葉なんて、信じられませんわ」

「そう?なら、別にそれでもいいけど」

 『しっかりしたお嬢さんだな〜』と呟きながら、男性は背もたれに身を預ける。
と同時に、両手を組んだ。

「まあ、それはそれとして……この取り引きはきっと君にとっても、有意義なものになると思うんだ。だから、まずは話だけでも聞いてほしい」

 丁寧な言葉遣いとは裏腹にどことなく圧力を掛けてくる彼に、私は表情を強ばらせる。
じわりと手に滲む汗を一瞥し、唇に力を入れた。

 相手をあまり刺激しない方が、いいかもしれない……。
本気で怒らせたら、子供の私なんて一溜りもないだろうし……。

 などと考えながら、私は一つ息を吐く。