「これまで色んな神託が下されてきたけど、魔王関連のものは一つもなかった。教皇聖下や大司教が集い、集団で祈祷を行ってもだ。頑として、神々は動かなかった」

「!?」

 聖騎士としてあらゆる記録や書物を閲覧出来るリエート卿の証言に、魔王は更なる衝撃を受ける。
『じゃあ、本当に……』と狼狽える彼の前で、リエート卿は前髪を掻き上げた。

「今、考えてみると神々はお前を庇っていたのかもな」

「っ……!」

 神の慈悲を勘違いしていたことが明確になり、魔王は胸元を握り締めた。
『僕の願いを切り捨てた訳じゃなかったんだ……』と嘆き、下を向く。

「でも……だからって、こんな……永遠なんて、酷すぎる……」