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「これで、昔話はおしまい。どうだい?少しは僕のことを理解出来た?」

 『殺してくれる気になった?』と問い、魔王は夜の瞳を細めた。
こちらの反応を窺う彼の前で、私達は顔を見合わせる。

 こちらの世界の住民からすれば、とばっちりでしかないけど……魔王の立場になって考えてみると、世界を滅ぼしてでも解放されたいと願ってしまうのも分かる気がする。
とはいえ、これまでの行いを肯定するつもりはない。
アガレスの件も、魔物による大虐殺の件も決して許されるようなものじゃないから。

 ギュッと胸元を握り締め、私は善悪だけじゃ割り切れない事情に眉尻を下げた。
『どうすればいいの……?』と自問しつつ、自分の使える魔法やギフトを思い浮かべる。
────と、ここで魔王が席を立った。